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熊谷喜八

熊谷喜八(くまがいきはち)

1946年 東京生まれ。「翼よ、あれがパリの灯だ」の映画を観て、フランス料理のコックを目指す。銀座東急ホテルを皮切りに、1969年より、セネガル、モロッコ日本大使館料理長を歴任後、1972年パリ「マキシム」、「パヴィヨンロワイヤル」で研鑚を積み、当時ジョエル・ロブション氏が率いていた「ホテル・コンコルド・ラファイエット」ではセクションシェフを務める。  1975年帰国後、高樹町「シルバースプーン」料理長を務め、1977年より葉山「ラ・マーレ・ド・チャヤ」の総料理長を務める。1986年6月、株式会社サザビーと共同出資による株式会社キハチアンドエスを設立。  翌年、「KIHACHI」を開店する。美味しくて体に安全なジャンルにとらわれないキハチ料理を提供するレストラン部門と洋菓子部門を含めた“食”の複合企業化を目指す。



葉山から東京へ

 葉山の『ラ・マーレ・ド・チャヤ』にいたときに、どうやって東京を攻略しようかと考えていました。そのため、給料の半分をつぎ込んで、繁盛レストランを見に行きました。料理がおいしいのか、インテリアがいいのか。  そんなリサーチの中、レストランにも明確なコンセプトが必要だということに気づいたんです。いろいろなレストランに足を運んだり、考えたりした末に出した結論が「おいしくて、体に安全」というコンセプトでした。体の安全を考えた料理。食べ物はまず、うまくなければいけない。そして体にいいことも大切です。いまでは当たり前の考えですが、20年前は、当たり前ではなかった。  そこで、レストラン「KIHACHI」の地下にマーケットを作って、無農薬の野菜、無添加の調味料や産地直送の天然魚介など素材の安全性をうりに販売しました。 レストラン「KIHACHI」のオープンは1987年でした。折からのグルメブームもあって、お店は大盛況。ディナーは、夕方5時半に開店して、9時半がラストオーダーだったんですが、業界の人がちょっと見に来る、なんていうこともあって夜の営業でも数回転していましたね。  
常にお客様で溢れていました。

1. 繁盛レストランを数多く体験しリサーチする
2. 業界における「錦の御旗」を見極める
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ターゲットは? そのターゲットに合う価格は? インテリアは?・・・

 まず、東京の人口構成を考えてください。昼間、レストランに来られるのは、30代から40代の女性です。その女性たちが、昼食に使える金額を考えたとき、およそ3000円くらいでしょう。3000円、できれば2500円で満足ができるメニューは、どういうものがいいだろう? 前菜がついて、メイン料理があって、デザートも楽しみたいはずです。
  その要望にいかに応えるか。そのためには、お客様に提供するものの質は落とせません。そうだとすると、見直せるのは調理作業です。例えば、よくあるジャガイモのつけあわせも、ホテルのレストラン厨房では、ジャガイモの皮を丁寧にむき、きれいな形に切りそろえます。しかし、そのような手間暇かけていては、食材にロスも多く人件費もかさみ、価格に跳ね返ってきます。  
  ところが、そのコストのかわりに、より質のいい無農薬のジャガイモを仕入れて、手間暇かけずに皮付きのままさっと揚げれば、時間が省けて、かつより美味しいものをお客様に提供でき、結果、作業効率もあがります。つい日々の作業に流され、いまの作業を見つめ直すことがないと思いますが、何が一番大切か、本質を見つめることで、みえてくる無駄やこだわりがあります。これでなければいけないということはありません。常に柔軟な発想で取り組むことが大切です。  
  ターゲットと価格を決めたら、次はどんなシチュエーションで料理を食べたいかを立体的に想像することです。1987年のKIHACHIの次に出店した「SELAN」の出店当時のコンセプトは「日本で初めての健康志向のモーニングレストラン」でした。銀杏並木に面するこのテラスでどんなモーニングをどんな人と食べたいか。恋人なのか、家族なのかとイメージを設定します。その上で、そのときにどんなメニューがあったら嬉しいか、どんなメニューを食べたいかを想像します。そのときは、入口を入ってすぐのところに、常時20種類くらいのジュース・バーを設置して、さらに卵料理を13〜15種類くらい用意しました。結果、朝9時には、230席すべてが埋まっていました。  
  私が入る前は、月商700万円の店でしたが、「モーニングレストラン」にしてからは月商7000万円になったんです。

3. レストランに来るターゲットと客単価を分析する
4. 質を落とさずにコストや手間を下げる研究をする
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わきあがる料理のアイディア

 私は結構な数の創作料理を生み出しました。1ヶ月ごとに変更するメニューで新しいレシピを40品も考えたこともあります。その時は、下で働いていたシェフが、悲鳴をあげていましたけど。  
  レシピのアイディアですか? まあ、本はたくさん読んでいますし、それに普通の人が一生かけて食べる料理を、二生分か三生分は食べているかな。B級グルメ、C級グルメもね。B級グルメの店での、単品の驚きはすごいですよ。“この店のこの1品”、というものには、絶妙な“何か”があるもので、勉強になることが多いです。  
  それを舌に記憶させるのです。ほとんど何とか再現できますね、スパイスに至るまで。中でも代表作は、「オマールえびのスパイス焼き」でしょうか。ほかにも、葉山の「ラ・マーレ・ド・チャヤ」にいたときには、横須賀の魚市場が近かったので毎日市場に通っていました。当時、フレンチで使う魚の種類は限られていましたが、市場にいっていろいろな魚をみるたびに、使ってみたいと思っていろいろと試して料理にしていました。当時はフレンチにアイナメや穴子、メバルなどを使うことはめずらしく、話題になりました。いまでも人気の「いろいろ貝類のサラダ」は、サラダに貝?とよく驚かれました。  
  ちょうどそのころ、台湾出店の話が舞い込んで、台北に行ったのですが、フランス料理の鍵とも言えるワインはない、クリームはない、生ものも食べないというないないづくしの台湾で、自分らしい料理が作れず壁にぶつかってしまったんです。その時の挫折感から、どんなところにいっても表現できる“日本最強の洋食”をつくろうと思ったんです。クリームがなくても味噌がある。チャイニーズ、フレンチとジャンルにこだわるのではなく、食材そのものの美味しさを最大限に引き出すために自由に発想すればいいんだと開き直ったんです。

5. A級からC級まで、あらゆる味を探訪する
6. どのような環境でも、オリジナルを模索する意志を持つ
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フードビジネス、イコール、フード戦争

 料理人は職人気質の人が多いですが、経営者感覚は絶対に必要です。フードビジネスは「フード戦争」ですから、戦略のない戦争は勝てません。  
  たとえば、私はイチゴのケーキを作ろうと思ったとき、ありとあらゆるイチゴのケーキをファイリングします。味や材料よりも、商品の写真とどこの店でいくらで売っているものかをファイリングします。そうすると、いまの傾向がみえてきて、商品作りの参考になるんです。商品の案が出来きたら、試作をし、コスト管理をきちんと行い、想定利益も計算します。そうしたことをきちんと管理しないとビジネスではありません。  
  私自身、失敗もしました。20年近く前、キハチで12月に7000万円近く売った時でさえ、収支はプラスマイナスゼロぐらい。それほど無駄が多かった。例えば人件費率で43−44%ぐらいありました。結局、経費管理まで目がいかなかったんですね。それで、作業が大変だからと人を入れてしまう。でも教育する人がいないからボーッと立っているだけ。それでもお金は出ていきますからね。  
  この失敗を受けて、セランでは、成功するように戦略を立てました。セランは大きい店でしたから、キッチンからテラスの先まで歩く距離が長くてオペレーションが大変なんです。この距離の不便さをどう克服するかと考えると、客席へ行く回数を少なくすればいい。たとえばコーヒーはお替わりがないようにカップを大きくする。量を多くしても歩く人件費を考えればたいしたことない。それから長い動線で歩くと什器の破損がでるから、グラスも低いものにするか割れない材質のものにする。料理も何度も運ぶのは大変ですから、前菜1品、メイン1品で済むようなものにして、それでも客単価が取れるメニューをと考えて変えていったのです。

7. “戦争”に勝つための“戦略”が必要と心得る
8. コスト管理、想定利益を考えぬく
9. オペレーションに合ったメニューは何か
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95%経営者

 1店、成功させるだけなら、気合いでなんとかなります。だが、多店舗経営を考えているなら、数値管理が必要です。  私自身、正確な食材原価を出し、今どれだけの食材を使っているのか把握するために、写真入りですぐにわかる原価入りの“レシピカード”を作って活用しています。そうすれば、こんなにたくさんの食材が必要なのかと見直すことも出来ますから、無駄な食材を絞ったり、違う食材に変更して、在庫のことも考えながら、メニュー構成を組んでいいきます。そういう部分が明確になっていくと、不必要な作業を省くことで働く人の労働時間も自然と短くなっていくんです。  
そのレシピがあることで、キハチでは新人でも半年位でキハチの料理の補助作業が出来るようになります。その秘密は、私が自分の料理を徹底的に分析して、このやり方なら、ある程度のレベルの人間ならできるという方法論を作ってきたからです。最初のうちはブレもありましたが、この方法は軌道にのりました。  
  戦略と数字と、それを実践するための方法論。これを確立させていくことで、全国制覇さらには世界進出も可能になっていくはずです。

10. 人に指示できるレシピと方法論を確立する
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レストラン キハチ・銀座店

フレンチをベースに、様々な食材を使った自由闊達な料理が楽しめます。素材は熊谷シェフが全国を歩いて探した新鮮でこだわったものばかり。「オマール海老のスパイス焼き」、「生うにのパイケース焼き」など人気メニューをはじめ、カリフォルニアを中心に約40種揃うワインが料理を引き立てます。


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