若くして世界の様々なコンクールを制覇し、常に高い評価を得てきた辻口シェフ。店には国内だけでなくアジア、欧米からもファンが訪れる。彼の作るお菓子は、余分なものをギリギリまで削ぎ落として素材の味を際立たせたものと、多彩な素材を複雑に組み合わせたものなど幅広い。アイデアの引き出しも豊富で、この上なく独創的だ。
辻口シェフの実家は石川県七尾市の和菓子屋。「自分の体の中に、和菓子屋としてのDNAを感じる」と、本人が語るとおり、幼い頃から和三盆のはかない甘さや、季節の風物を模した、淡く繊細な色と形に親しんできた。
だからなのか、「しっかりした甘さ、はっきりした個性」をよしとするのがフランス菓子ならば、辻口シェフのそれは「品のよい、軽い、さっと溶けるような」印象。それでいて、最後は舌に強烈なインパクトを残すのだ。日本人の嗜好性にマッチしていながら、しっかりフランス菓子のエスプリが香る。このバランスの巧みさが、ファンにはたまらないのだろう。
今後は和三盆や牛皮などを使ったフランス菓子にも取り組みたい、将来はパリやニューヨークに出店したいと意欲的。「世界で通用するには、日本の食材を取り入れ、日本人としての感性で戦う必要がある」と、きっぱり。あくまでフランス菓子というフィールドで、日本の文化を世界に発信する。そんなケーキを作りえるパティシエは、今のところ、彼しか思い浮かばない。 |
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