店内には色とりどりの生菓子をはじめ、ヴィエノワズリー(発酵菓子)、ヌガーやキャラメルなどのコンフィズリー(砂糖菓子)、グラスリー(アイスクリーム)など、多彩なスウィーツが所狭しと並んでいる。
小さな店がこれだけ幅広い商品を揃えるのは並大抵のことではない。それだけに、フランス菓子に対する永井さんの深い思いが伺える。「本場ではこれが普通です。それぞれが持つ味、香り、形はすべてフランスの歴史や文化が培ってきたもの。僕は菓子だけじゃなく、店のスタイルも含めて、フランスの食文化を伝えたいんです」。
素材の組み合わせや生地の焼き加減、クレーム・パティシエールの炊き方など、永井さんのケーキはしっかりした甘さと緻密さを持ちながら、後口は軽く、キレがいい。伝統の手法に、彼ならではのセンスが加味されているのだ。味、デザインともに洗練されていて、どのケーキを食べても新鮮な驚きがある。 6年間のフランス修業中、永井さんはごく普通のフランス人の生活に溶け込んだ。平凡でささやかな暮らしの中に菓子を食べる幸せがあり、それがほんの少し、人生を豊かにする。そのことに強く心を打たれたそうだ。彼のケーキが決して才気走らず、どこかほっとするような親しみやすさを備えているのは、そんな思いが息づいているからだろうか。 |
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