「最も好きなのはチョコレートとキャラメル。僕のケーキには欠かせない素材ですね」と、語る川村シェフ。『アテスウェイ』のラインナップの7〜8割がこれらの素材を使ったものというから、思い入れは相当なものだ。
そのもとになる材料のひとつに、修業先のブルターニュ地方で出合った有塩バターがある。海塩入りの、まろやかな塩気を帯びた発酵バター。通常の5倍の値がかかるが、これを使って作る焼き菓子やキャラメルには、ケーキを食べ慣れた人でも一瞬、言葉を失うほどの濃厚さと深さがある。「これが本場の味、ブルターニュの味なのだ」と、手加減なしの挑戦を受けた感じさえする。それぞれのケーキが帯びる力強いエネルギーこそ、彼の菓子の個性なのかもしれないと思った。
修業時代は数々のコンクールに挑戦。1997年のクープ・ド・フランス世界大会で優勝、1999年にはチョコレートの国際大会ジャン・マリー・シブナーレに出品、2000年アルパジョン・ショコラ部門では優勝を果たしている。帰国後はまだ30歳という若さでシェフ・パティシエに就任。気負ったところは微塵もなく、ひらめきとエネルギーのままに次々と新作を生み出すなど、若さを逆に武器にしているのが逞しい。久々に闘志を感じさせてくれる人である。 |
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