食欲増進に東南アジアの香辛料

 今回は、東南アジアの料理について、その秘密を探ってみましょう。

 東南アジア全体を通して最もよく使われるスパイスは、トウガラシでしょう。生のものは青いのから黄色赤まで大小ありますし、乾燥したものも、さまざまなサイズから粉末まで、料理によって使い分けています。味は、マイルドなものから燃えるように刺激的なものまでいろいろですが、香りはほとんどありません。
 また、ニンニク、ショウガの類いも、欠かせません。とくにショウガは日本に普通にあるもの以外に、ガランガルのように微妙に違う品種もあり、料理によって使い分けられています。
 
 そして東南アジア料理に特徴的であると思われるのが、ハーブ、つまり生の香草類です。
たとえば、名高いタイのスープ、トムヤムには、レモングラス(レモンの風味のあるイネ科の草)と、コブミカンの葉(タイ語でバイ・マクルート)が必ず入っています。この酸っぱくて辛いスープの中で、食べられない棒状のものがレモングラスの根の部分で、ベイリーフの丸っこいようなものがコブミカンです。このふたつはタイ料理では頻繁に登場しますし、マレーやインドネシアの煮込み風の料理、あるいはカレーでもよく使われています。
 ほかに、コリアンダーの葉、つまり香菜(タイ語ではパクチ)は、さまざまな料理の上に生葉が飾られているから、その独特の香りが東南アジアの料理を特徴づけているとさえ思われるほどの登場回数ですし、レモングラスとは一味違う風味のパンダンリーフの細長い葉は、鳥肉などを茹でるときに入っていたり、あるいは、肉を包んで香りつきの揚げ物にされたりもするので、馴染みがあるでしょう。
 また、バジリコの仲間も炒め物からカレーの上の飾りにいたるまで、とくにタイ料理などでよく目にしますし、ベトナムなどではミントをサラダに多用しています。

 調味ということでは、酢よりも柑橘類の絞り汁がよく用いられることも、東南アジアに特徴的といえます。タイのサラダやトムヤムの酸っぱさは、マナオというライムの一種を絞ったものですし、フィリピン料理の酸味は、一般的にカラマンシーという、小さめのスダチのようなものです。
 こんなさまざまな香辛料が、暑さの中でも食欲をそそる要因になっているのでしょうね。

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