語源にたどるハーブと人間の関係

 ハーブの名前の語源をたどってみると、人々の生活との深い結びつきを知ることができます。

 セリ科の「ディル」のもとの言葉は、古代ノルウェー語のディラー(なだめて寝かしつける、穏やかにするという意味をもつ)という単語です。ディルの葉や種子に含まれている油に、ゆるやかな鎮静作用があるために、こう呼ばれたようです。ディルの薬湯は、古代エジプトの記録には、しゃっくりに効く薬と記されています。
 また、「オレガノ」という名は、ギリシャ語で「山の喜び」を意味する語に由来しています。ギリシャでは婚礼のときに、新郎新婦がこれを冠にしてかぶりました。そして、死後の幸福な生活を保障するために、墓地に植えられる草だったといいます。
 「セージ」の学名サルヴィアは、ラテン語で「救助、救済」を意味しています。その名の通り、収れん、強壮作用や消化を刺激し、熱を下げ、血液を浄化するといったあらゆる効能をもつこのハーブは、昔の医学では最も重要な薬草と考えられていたようです。 ギリシャ・ローマ時代には、これを常に用いたら不死も夢ではない、とさえ記されたハーブなのです。
 不死といえば、「タンジー」(ヨモギギク)の古代の名アタナシアは、ギリシャ語で不死を意味するものでした。このハーブは殺虫、消毒作用があり、中世ヨーロッパでは衣服の間やベッドの下、家畜小屋の敷きワラの中などに入れて、ノミや害虫よけに使われました。
 さわやかな香りの「ラベンダー」の語源は、ラテン語で「洗う」という意味を持ちます。洗濯水に入れて衣類に芳香をつけるとい方法は、ギリシャ・ローマ時代から行われていたのです。まさに生活が香る名前といえるでしょう。

 

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