世界の珍品チーズ博覧会

 「青カビチーズはカビを食べているようでなじめない」「ウォッシュタイプは匂いがきつすぎて」という人は、まだまだチーズの本当の恐ろしさを知りません。

 地中海に浮かぶコルシカ島は、その独特の気候風土により、この地に特産のチーズを数多く生み出してきました。「フルール・デュ・マキ」などいくつか日本に輸入されているものもありますが、多くは輸入規制に引っ掛かってしまうので、なかなかお目にかかることはできません。
 その理由は、コルシカ島の朝市をのぞいてみれば即座に納得できるでしょう。たとえば「チーズ・ペースト」という食べ物は、かなり離れたところでもすぐに匂いでわかります。「チーズ・ペースト」はコルシカ島特有のもので、熟成したチーズをつぶし、桶に入れて、混ぜ物をしないで、さらに5〜6カ月熟成させて作ります。当然のことながら中にはウジ虫がわいてきます。混ぜ物なしとは、つまりそういうことなのです。地元の人の中には、ウジ虫がわいたところがおいしいという人もいますが、さすがに最近では、「○○さんが食べたそうだ」というのが話題になるそうです。

 フランス本土も負けてはいません。南仏の海岸から少し入ったオーベルニュ地方には「グルード・コスタロ」というダニ付きのチーズがあります。熟成中にできる固い皮が表面を覆い、そこにダニが侵食するのです。 中身はねっとりしているが、匂いはそれほどでもありません。チーズ店で聞くと「もちろん皮も食べます。 ダニごと全部がおいしいの」との答えでした。

 プロヴァンス地方の料理に「エポワス漬け」というのがあります。「エポワス」そのものも、ウォッシュタイプのチーズで、匂いはかなり強烈です。それにさらに白ワインとプロヴァンス地方の地酒、マール酒を注ぎ、1週間後、その液を捨てて、今度は白ワインだけで2週間置きます。すると強烈な匂いを発散するクリーム状になるのです。「エポワス」は、フランス語では「神様のおみ足」という意味ですが、イギリス人は「豚の足の指の間」というそうです。
 果たしてどちらの感覚が正しいかは、食べてみてのお楽しみ。 ただ、納豆やくさやを喜んで食べる日本人には、なにもいう資格はないかもしれませんね……。

 

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