おしゃれで楽しい料理、ピンチョス
 Gシェフでは、スペイン出身のホセ バラオナ ビニェスシェフのピンチョスを紹介していますが、皆さん、作っていただけたでしょうか。うすく切ったパンの上にいろいろなお総菜をのせたり、ピクルスやチーズなどのつまみを串で刺したりした、一口サイズのピンチョス。小さくて色とりどり、見ているだけで目が喜ぶ楽しいレシピです。新しいピンチョスが紹介されるたびに、数年前、スペインで初めてピンチョスと出会ったときのことを思い出します。

 そこは、道路にまでお客があふれているくらい、流行っているバールでした。ちょっとお腹がすいたな、と思ったときに気軽に寄って、ワインやビールと一緒に、軽く食べ物をつまむバール。生ハムやチョリソー、野菜魚介のマリネ、シーフードの天ぷら、内臓の煮込み、卵料理などなど、ありとあらゆるものがあります。種類が多い店ではカウンターの上に所狭しと30種類以上並んでいるところや、さらに注文するとパエリア、スープ、串焼き、グリエなどを食べさせてくれる店もあるのです。

 基本的にバールには椅子はないので、みんな立ったまま食べることになるのですが、そのバールは、道路にまで人があふれ、みんなそれぞれの手にかわいらしく、おいしそうなものを持ちながら、楽しそうに外で食べているのです。それがピンチョスでした。注文するのが一苦労で、カウンターに対して2重にも3重にも人垣ができている。しかも、支払いの仕方がよくわからない。壁や黒板にはその日のお薦めや、飲み物やピンチョスの値段は書いてあるのですが、いつ払うのかがわかりません。その店では、店を出るときに自己申告制でした。そんなお店が多いようです。一部のお店ではその都度キャッシュで支払うこともありましたが、そんなお店は比較的空いています。
 
お店に入って驚いたことに、床は紙ナプキンの山。ピンチョスは使い終わったらすべて床に投げ捨てるので、足元はゴミだらけです。混み過ぎていて、もちろん、掃除などできないのでしょう。
 地元の人は、この店は何時頃にトルティーヤが焼きあがってくるなどよく知っていて、それを狙ってくる常連客もいます。たまたまトルティーヤの焼き上がり時間に出くわしたのですが、卵はまだ少し半熟気味で、ジャガイモはホクホク、切り口から湯気が出ていました。卵とジャガイモのおいしさをこんなに堪能したのは初めてでした。いわしの天ぷら、小イカの鉄板焼、ピーマンにチーズをつめたベーニエ、オリーブと鰯のマリネ、チョリソー、イカの墨煮、たらの煮込み、何度訪れても食べきれず、飽きることのないピンチョスだったのです。

 今や、日本のスペイン料理店でもこぞってメニューに載るようになり、その手軽さと新しさはスペイン料理界ばかりではなく、イタリアンやフレンチでも注目されているピンチョス。その本場スペインの味をホセ バラオナ ビニェスシェフは再現してくれます。本当に手軽にできますので、みなさんもぜひ試してみてください。


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