火事から生まれたチョコレート
 チョコレートの歴史は、紀元前2000年頃にまでさかのぼると言われています。 この頃のメキシコでは、カカオ豆を「神の食べ物」と呼んで、とても大切にしていました。食べるだけでなく、通貨としても使用されていたようです。カカオ豆は、長さ15〜20センチくらいの楕円形のみの中に入っている種子です。当初は、種子(つまりカカオ豆)は食べず、ふつうの果物のように、種の周りの果肉を食べていたと言います。
 ところが、偶然起こった火事でカカオが焼け、炒ったカカオの種がすばらしい香りと味を持っていることがわかったのです。そして、この出来事の後、焼いたカカオ豆をどのように食べたら一番美味しいかという工夫がなされ、すりつぶして食されるようになりました。果肉ではなく、カカオ豆を採るために、カカオの栽培が始まったのです。

 ヨーロッパ人で初めてチョコレートを知ったのはコロンブスだと言われています。しかし、いろいろなものをアメリカ大陸からヨーロッパへ持ち帰って広めた彼ですが、チョコレートはあまりお気に召さなかったのか、本国に持ち帰ることはしませんでした。そのため、アステカを滅ぼしたスペインの軍人フェルナンド・コルテスが、戦利品としてカカオ豆をヨーロッパに持ち帰ったのが、欧州でのチョコレートの歴史の始まりだと言われています。
 当初、チョコレートは「美味」としてではなく、「不老長寿の秘薬」として扱われていたようで、スペイン王国でも約100年もの間、門外不出の扱いを受けていました。他国へお嫁に行くスペインのお姫様たちが、お気に入りのチョコレートレシピと、チョコレートコックを花嫁道具として持参したことから、次第にヨーロッパ中に広まっていきました。あの、マリーアントワネットの母君であるマリア・テレジアもその一人です。

 「不老長寿の秘薬」というのはいくらなんでも大げさですが、チョコレートには実はみなさんが想像している以上に栄養があります。チョコレートの原料であるカカオ豆には、カリウムやマグネシウムが豊富に含まれています。カリウムは高血圧や脳卒中の発生を防ぐ効果があり、マグネシウムは骨を作るのに欠かせません。ポリフェノールが赤ワインの約3倍含まれていることも、最近、話題になりましたね。ポリフェノールは、ストレスや胃潰瘍、アレルギー症状、ガンや動脈硬化の抑制など、多くの効用があります。
 また、カカオマスには食物繊維が全体の約2割を占めています。食物繊維はお通じをよくし、血中コレステロールをコントロールする役割も果たします。

 最近は、「甘くない」チョコレートもたくさん出回っています。太ることを気にするよりも、チョコレートの栄養面を考慮して、チョコレートのおいしさを究めてみるのはいかがでしょうか。



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