「匂い」のメカニズムはこんなに複雑
 食べ物の中には強烈な匂いを発するものがあります。よく例に挙げられるのがドリアンというフルーツ。「臭くて絶対に食べられない」という人がいるかと思えば、「あの匂いが病みつきになる」という人もいます。なぜ同じ匂いなのに、人によって好き嫌いが分かれるのでしょうか。

 調べてみたら、匂いを判定するのは私たちの「脳」だということです。息を吸うと、空気と一緒に匂いの分子が鼻に入り、鼻の粘膜にある嗅細胞を刺激します。その刺激は一種の電気信号となって「大脳皮質」まで届きます。 この大脳皮質には、生まれ育った環境や、様々な経験、身についた文化、体調など、いわゆる後天的な情報がぎっしり詰まっています。その複雑な情報をもとに、脳が匂いの電気信号を快とか不快とか判断するのです。ですから、生まれたばかりで情報が少ない一、二歳の乳幼児は、なにかの匂いが嫌、ということはないそうです。

 人の嗅覚には、いくつか特徴があって、そのひとつは「匂いに慣れる」ということ。いい匂いでも、嫌な匂いでも、しばらく嗅いでいるとあまり感じなくなります。嗅覚は疲れやすいということでしょうか。東南アジアの市場を歩いていると、最初は鼻についた匂いもいつしか感じられなくなります。これはいい場合もありますが、たとえばガス漏れのように、わずかずつ続く匂いにも無意識のうちに慣れてしまうので、順応しやすい嗅覚というのは、両刃の剣とも言
えます。  

 また、嗅覚には「個人差」があります。鼻が利く人と、利かない人がいますよね。またその感度は、匂いの種類によっても個人差が現れます。腐りかけた食べ物の匂いには鈍感なのに、自分の体臭には恐ろしく敏感な人、また意外なことにガソリンの匂いがたまらなく好き、というような人もいます。
 そして、嗅覚は訓練で伸ばすことができる」のだそう。香水の調合などに携わる調香師さんたちの鼻は、まさに訓練のたまものです。
 
嗅覚は、体調によっても左右されて、風邪のときは鼻が利かなくなりますし、疲れたときも低下します。逆に敏感になるのは空腹時。一日のうちでは朝が敏感で、夜にはあまり利かなくなるそう。
 
 食べ物のおいしさは、舌で感じる味ももちろん大切ですが、香りとか匂いというのも無視できません。おいしそうな香りというのを知っていれば、ほかの食べ物との見分けもできますし、食べ物が腐っていたりすれば、匂いで察知することもできます。おいしそうな香りをたくさん嗅いで、おいしい食べ物の感覚を養うのもいいかもしれませんね。



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