西洋料理のルーツはイタリアにあり
 ふだん何気なく食べている西洋料理。一口に西洋料理といっても、フランス料理からイタリア料理、スペイン料理などなど、それぞれの国別に特徴のある料理が並びます。その西洋料理のルーツは……、実はイタリア料理だそうです。

 イタリア料理の歴史は、ルネッサンス期に華開きました。当時、ヨーロッパの最高水準にあった富裕なローマ人たちの間で、腕利きのコックを集め、贅を尽くした料理を披露することが流行したのです。コック達は新しい料理づくりに日夜の努力と情熱をかけ、それが素晴らしいイタリア料理を生んでいきました。4本爪のフォークが生まれたのもイタリア。パスタをからめるのに、好都合だったからといいます。
 いまでは「世界三大料理」と言われるフランス料理も、隣国イタリアの食文化に影響されて成長しました。イタリアの食文化がフランスに伝わったのは、カテリーナ・メディチがフランス王アンリニ世と結婚したのがきっかけといわれています。フィレンツェの支配者となってルネッサンス文化を創りあげる源となったメディチ家。カテリーナ・メディチは料理人、香料師を連れてフランスに嫁ぎ、その時、食器も持っていったのです。フランス料理は、イタリア料理をルーツとしながらも、さまざまなソースを編み出し、ソースによって素材の持ち味以上のものを引き出すことによって成功していきました。

 一方、イタリア料理はその特徴が「地方、地方で育んできた郷上料埋にある」といわれるほど地方色が強く、各地方で採れる特産物の旬を生かして、素材の持ち味を損なうことなく引き出す調理法に特徴がありました。
 イタリア料理が地方色あふれる料理となっている理由には2つのことが考えられます。1つには、その国土の地理的要因。南北に細長いうえ、北部はアルプスが横断し、半島はアペニン山脈が縦断しているため、国土はそれらの支脈によって細かく分断されています。気候や地勢が異なれば、産物ももちろん異なり、それが料理に大きな影響をおよぼしているのです。
 もうひとつ、歴史的要因も考えられます。イタリアの諸都市はもともと都市国家として発達し、それぞれが個性の強い独自文化を築き上げてきました。イタリアの統一は1870年、日本でいうと明治維新の頃になります。ヨーロッパ先進国の中ではもっとも若い国家です。

 こうしてイタリア料理を北部と南部とで比べてみると、はっきりした違いがあることがわかります。まずソースのベースとなる油脂は、北部でバタ−や生クリームを多用しているのに対し、南部はオリーブオイルを好んでよく使います。パスタをはじめとした穀類についてみると、南部のほうが消費量が多く、スパゲッティやマカロニなどの乾燥パスタを、オリーブオイルベースのソースであえるシンプルな料理法が中心となっています。一方、北部では、乾燥パスタに適した硬質の小麦が産出しなかったために、手打ちの生パスタが発達しました。さらに、北部は肉類、南部では魚介類が多く食べられています。

 このように素材こそ各地方で異なりますが、イタリア料理はどれも、素材にあまり手を加えず、素材のよさを最大限に生かした生命力とぬくもりを感じさせる料理であるといってよいでしょう。私は夏になるとなぜかイタリア料理を多く食べたくなるのですが、それは、生命力を感じさせる料理だからかもしれません。


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