料理下手は包丁が原因?
 みなさんがお料理に使っている包丁はよく切れますか。
 包丁にとって、最も重要な要素は「切れ味」です。切れない包丁を使えば、お料理の能率が下がるのはもちろん、無駄な力が入るので怪我もしやすくなりまし、料理の味にも決定的な影響を与えます。

 切れない包丁で肉を切れば、肉汁(=うまみ)がたくさん流れ出てしまいます。野菜を切れば、細胞を破壊しビタミン、ミネラル等の栄養素を損失することになります。また、鮮度が数段早く落ち、歯ざわり、舌ざわりも悪く、料理の味が落ちて来るのです。玉ねぎを切って涙が出るのも、玉ねぎの中の催涙物質のある細胞を破壊しているからです。切れる包丁を使えば、細胞の破壊を最小限に抑え、玉ねぎに泣かされることもなくなります。
 切れない包丁を使うと、料理の味だけでなく、見た目も悪くなります。切れない包丁でトマトのような柔らかいものを切ろうとすると、身が崩れてしまいますよね。それでは切れる包丁とはどんな包丁なのでしょう。ここで、ちょっと包丁の歴史を振り返ってみましょう。

 包丁の歴史は意外に新しく、初めて作られたのは室町時代の末期だといいます。当時、鉄砲と一緒にタバコがポルトガルから伝えられ、それを刻む包丁が必要になったのです。そこで秀吉が堺のカミソリ屋「長兵衛」に「タバコ包丁」を作らせました。もともと堺には刀剣製造の優秀な技術があり、大変よいものができたのです。これが和包丁の始まりです。
 江戸時代の中期になると、「菜刀(ながたん)」と呼ばれる菜切り包丁が作られ始め、さらには魚を料理する刺身包丁や出刃包丁も作られるようになってきます。

 洋包丁の歴史は、明治時代の文明開化とともに始まります。日本人が肉を食べるようになったのです。包丁はさまざまな料理人と刃物メーカによって開発され、急速に一般家庭に普及していきました。この背景には、家庭料理に洋食が急増したということと、洋包丁が両刃造りの刃付けであったことが理由として挙げられます。片刃の和包丁と違って、両刃は表裏両面で切ることができるので、使いやすかったのでしょう。

 包丁はいまでも進化を続けています。みなさんは「ファインセラミックス」という言葉を聞いたことがありますか。
 
物質には有機物質と無機物質があり、そのうち無機物質は金属と非金属とに大きく分けられます。そして、無機物質の非金属である陶磁器やセメント、レンガなど、製造過程において高温処理を受けたものをセラミックスといいますが、その中でも、高い精度で加工されたセラミックスを特に「ファインセラミックス」と呼んでいます。
 
ファインセラミックスは、今や私達のまわりのあらゆるところで使われています。エレクトロニクスの分野では、家庭のテレビやビデオデッキなどに、チップコンデンサや発振部品として使われています。オフィスでは、パソコン、PDA、携帯電話などにICパッケージやセラミック電子部品、液晶ディスプレイなどが使われています。
 このファインセラミックスは、強度が強く、また、さびないことから包丁やハサミなどにも使われています。使い始めの切れ味がず っと続く包丁……。それがファインセラミックスの包丁です。

料理にこだわりを持つあなた、一度お使いになっている包丁を見直してみてはいかがですか。

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